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ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

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ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

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レビュー(Amazon.co.jp)

 『秘密』 『白夜行』などで重厚な人間ドラマに新境地をひらいた著者が、ホームグラウンドともいうべきシンプルなミステリーの舞台に立ち返り、「ゲーム感覚の誘拐事件」を描く。使い捨て携帯電話やインターネットの掲示板が事件の重要なカギを握るなど、時代の風俗をたくみに取り入れ、展開もアクロバティックでエンターテイメント性は十分だ。映画『g@me』の原作だが、テンポのよさはいかにも映像化向きでもある。

   やり手の広告代理店プランナーが、仕事上で屈辱を味わわされた大手自動車メーカー副社長への復讐を思いつく。仕事も恋愛も人生はすべてゲーム、それに勝ち抜くことがすべてと信じるエリートのプライドが、物語の重要な背景となっている。そこに家出中の副社長の娘が絡み、ラブストーリー的な要素も加わっていく。おのおのの思惑が思わぬ方向に事態を変化させていくあたりは、稀代のストーリーテラーとしての著者の面目躍如だ。

   こうした事件ものでは、複数の視点から立体的に描写をしていく手法が一般的だが、本作では一貫して主人公の視点からの著述となっている構成もユニークだ。読者にも、復讐相手の出方、警察の捜査などの状況はなかなか明確になってこない。これがサスペンス的で緊迫した雰囲気をいっそう盛り上げている。自信満々で鼻持ちならない登場人物のキャラクターをあえて強調するあたりも著者の計算どおりで、それだけにラストのどんでん返しが印象に残る。(松田尚之)

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